獣医師コラム
【 猫の消化管好酸球性硬化性線維増殖症(GESF)について 】
猫の消化管好酸球性硬化性線維増殖症(GESF)は、主に中高齢の猫でまれに認められる、胃や十二指腸から大腸にかけて発生する非腫瘍性疾患です。
主な症状
食欲不振、体重減少、頻回の嘔吐、慢性的な下痢などを主訴に来院されることが多く、消化管の炎症により腫瘤状の病変を形成します。これにより、消化管の潰瘍形成や狭窄、腸閉塞を引き起こすことがあります。
検査所見
• 血液検査:貧血、低アルブミン血症
• 超音波検査:胃壁・腸管壁の肥厚、所属リンパ節の腫大
確定診断には、病理組織学的検査が必要です。病変部における好酸球の浸潤および線維化を確認するため、外科的切除生検または内視鏡生検を行います。
発症要因
細菌感染の関与やラグドールなどの純血種での発生が多いとされていますが、発症機序は現在も明らかになっていません。中高齢猫に多いものの、若齢猫での報告もあります。アレルギー性疾患や、消化管への慢性的な異物刺激との関連も示唆されています。
治療
治療は病態により外科療法と内科療法を使い分けます。
• 腸閉塞を伴う場合:外科的切除が必要
• 早期発見例:抗菌薬、免疫抑制剤、ステロイド、食事療法などを組み合わせた内科治療でコントロール可能な場合があります。しかし、重症例では**周術期死亡率が約24%**と報告されており、早期発見が極めて重要です。
鑑別診断の重要性
猫では消化管に腫瘤を形成する腫瘍性疾患も多く、GESFとの鑑別も非常に重要となります。
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頻回の嘔吐や慢性的な下痢、体重減少などの症状がみられる場合は、早めの受診と定期的な検査をご検討ください。
早期発見・早期治療が、猫ちゃんの予後を大きく左右します。
獣医師 小坂 由紀